A極めて記述風のものです。こういう本は常識をひろめるに役立つ種類です。興味がおありになるでしょうか。二冊で三十二円いくら。おききしないうちに買わない所以《ゆえん》です。日本の外務省の情報部で、日本教育史、外交政策などに関する外人向パンフレットをいくつか出して居ます。
 仕方がないから本店へ行って見たら、『マーチ オヴ ア ネイション』がありました。ともかく買ってかえって、小包にしましたが、フランコ側の進軍への従軍記事です。文章に魅力があるというのでもない。しかしマアこういうのもある、というようなわけです。全くひどい挑発的な本も出ていました。きっと全部はおよみにならないかもしれませんね。オーストリアの前首相で、ナチの侵入と共に監禁された Kurt Schuschnigg の My Austria という本がありました。これは内容のある面白い本だと思います。大戦後からイタリーとドイツの圧力の下に苦しむオースタリーを書いている。それから、英語で書かれた無名の原稿によって出版された Why Nazi という本がある。非難するためでもなく、ひいきするためでもなく、それがあるままを、と序文にある。イギリス人でその場に列席した法律家が Trial of Radek を書いて居ります。冷静に見ている。何故一般がびっくりする程のことを皆喋ったかということについて、それは国内にいるのこりをうまくのこしておくためであったと見ている。これもつまらなくはないらしいと思います。法律の相異から書いている。改めてアンケートに書いておきました。顔なじみの人がいて、本のとりよせの困難の話をききました。結局ちょいちょい足まめに行って、而して高いことには目をつぶることです。種目をせばめまいとしていると、冊数がすっかり減ってしまう由。『クラッシュ イン パシフィック』は地方の支店をきいてくれるそうです。Japan over Asia は或はあるかもしれずとのことです。
 私の方は、日本上代文学や歴史とてらし合わせて、綜合的によんでいるので、なかなか興味があります。順よく進んで居り、これまでより、追々ひろがって行けそうです(読む範囲で)。
 白揚社から、新しい方法をとり入れた日本文学史が(源氏前後)まで出ました。きいたことのない筆者の名です。文学を社会の背景から書いている。どんな本かしら。
 中央公論の出版目録は直接そちらへ送るように書きました、そう云えば、岩波から『図書』の八月よこしましたろうか。
 本間さん(もと十条にいた)が仕立ものをもって来ました。今年はあのひとが戸塚に来たので、どてらの直しや何かたのめて、レコード破りのポンポコになりました。普通の仕立をするところでは、程[#「程」に傍点]があるという気持で、なかなかこう徹底してポンポン綿を入れませんから。云っても駄目だから。今年はその点はいくらかましな冬です。
 では、今夜は、本屋めぐりの報告で終り。お約束の表を添えて。ではおやすみなさい。早く気候が落付けばいいのにね。
   お約束の表  十月二十三日――十月三十一日
   起床       計温  就寝     計温
          午後五―六
23日 午前六時十五分  六・六 九時半    六・四
24日 午前六時二十五分 六・五 九時四十分  六・四
25日 午前六時十分   六・四 九時二十分  六・四
26日 六時四十分    六・四 十時     六・三
27日 六時半      六・五 十時十分   六・三
28日 六時二十分位   六・四 九時四十五分 六・二
29日 七時五分前    六・八 九時四十分  六・五
30日 七時(日曜日)  六・五 十時三十分  六・四
31日 六時四十分    六・六 今八時二十分。きょうは眠くて風呂もやめて、
                もう十分もしたら床に入ります。今六・四
 十一月一日からそちらは八時半からになります。けれども寒中にでもならないうちは、今の時間でつづけて見ようと思います。そうしたら第一のグループに入るわけですから。

 十一月六日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

 十一月六日  第六十九信
 きょうは心持よい晴天になりましたね。きのうの夕方の地震相当つよくお感じになったでしょう? 金華山沖が震源地ですって。はじめの五時すこし過のとき、丁度夕飯をたべていて、段々ゆれ出すので心持わるくなって玄関の外へ出ました。そんなことは珍しかった。しかし時計が止らない、大したことにはなるまい、そう思いながら、やっぱりドキドキしはじめて出ました。二度目のときは七時すぎで、そのときは日比谷の公会堂の二階にいました。おひさ君と並んで。舞台では高田せい子舞踊研究所の発表会で、子供の「桃太郎」を
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