w的精神と数学』(林町へ)
*『生活の探求』
国勢図会―地図┐
ロシア語の本 ┘差入すみ
本庄『日本社会経済史』 ┐
土屋『近世日本農村経済史論』┘注文。但品切れ、今はいいとのこと。
以上のほか手帳から注文の書きぬき
『岩波六法全書』(差入ズミ)
牧野『日本刑法』上下(差入ズミ)
『監獄法概論』(差入ズミ、不許、宅下げ)
『日本経済統計図表』三巻の中の一冊(品切れ)
三笠書房『発達史日本講座』内容見本(出版中絶につきとりやめ)
『大尉の娘』(プーシュキン原文)スミ
中央公論社『支那経済と社会』(ウィットフォーゲル上巻)(売切れ、古心がけた)
学芸社『支那農業経済論』(スミ、かえり)
The March toward the Unity 品切れ、注文した。
『東洋歴史地図』(八月三日発送)
『牧野英一記念論文集』中 鈴木義男氏論文ケイサイの分。(しらべ中)
『敗走千里』(八月五日送)
送品目録 *は購求
*『支那事変実記』
『神々は渇く』(不許)
*『山谿に生くる人々』
『リカアドウ』
*『冬物語』
Red star over China 不許
*『批評精神』
*『フランス、イスパニア読本』
『二葉亭四迷全集』第六巻迄
『三井王国』
『一般哲学史』
『古代日本人の世界観』
『内科的緊急処置』
『虫様突起内科的治療』
『療養新道』
『家庭療養全書』
『胃腸病の新療法』その他医療に関するもの
『デヴィッドの生立』
時局関係のもの数冊(『支那は生存し得るか』その他)
『聖女ジョウン』
『戦争』
『経済学及び課税の原理』
『支那経済地理概論』
『アメリカ読本』
『日本文学評論』二冊
*志賀直哉 第一
『雪国』
*『緑の館』
『中條精一郎』
『母の肖像』
『フランクリン自伝』
*『シェクスピアその世界観と芸術』
*『リアリズム』
『出版年鑑』
『蒙古』
『軍縮読本』
『絵のない絵本』
八月六日朝 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
第四十信 私が誤って納めた金[自注8]について、貴方の意志でなかったという点を表明して頂きたいと思います。土台私が払うべきものではなかったのでしたからお手数ですが、どうぞ。
裁判ノ執行ニ対スル異議
[#地から4字上げ]被告人 宮本顕治
右者兵役法違反被告事件ニ付
昭和 年 月 日(ここへ地方で判決の云いわたしのあった年と月。日はなくてもよい)
[#ここから1字下げ]
御庁ニ於テ罰金弐拾円ニ処スル旨ノ言渡ヲ相受ケ候処昭和十三年八月四日東京刑事地方裁判所検事局ヨリ被告人妻ユリニ対シ右罰金ノ納付方請求有之、妻ユリハ誤ッテ之ヲ納付シタル次第ニ有之候(領収証書番号第一〇五九号)従ッテ右罰金ハ被告人ニ於テ納付シタルモノニ無之候間右執行ノ御取消相成度此段異議申立候也
[#ここで字下げ終わり]
昭和 年 月 日
[#地から6字上げ]東京拘置所在監
[#地から3字上げ]右 宮本顕治
東京刑事地方裁判所
御中
こういう手紙をすみませんがお出しになって下さい。事後でも貴方のお払いになったものではないのだから、被告人としてやっぱり手紙をお出しになる立場がおありの由です。私が頓馬で面倒なことをおさせして本当にすみません。
とりいそぎ、要点だけ。
[#ここから2字下げ]
[自注8]誤って納めた金――一九三五年ごろから係争中であった兵役法違反事件が一方的に決定して、百合子に罰金二十円を支払うよう通達してきた。
[#ここで字下げ終わり]
八月八日夜 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
第四十一信 三四日やせるような思いをして夜も余り眠れないような気持だったので、きょうはかえるとパンをたべて夕刻まですっかり眠りこんでしまった。
良人というものは妻の愚かさによっても良人としての自分を痛感させられる場合がある。一生のうちに何度かあるものなのでしょうか。親の愚かさよりつれ合いのおろかさは何倍かしのぎにくい。そう思って辛かった。それでも貴方がそうやって平らかにうけて下すったから本当に有難く思います。あなたのいやさをこちらからまざまざと察してその原因が自分であることを承認しなければならないというのはどんなに苦しいでしょう。こういう心持は貴方はきっと一度も御存じないでしょうね。私はこういう経験に際してはギリギリのところ迄自分を追いつめて見るから汗と一緒にひとりでに涙が流れました。
今年の夏は私たちの暮しには珍しい夏ですね。毎日でなくていいと仰云るけれども私は八月中は毎日行こうかと思って居ります。あなたの風入れになるばかりでなく、毎日きまった距離をきまった時間に歩
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