ワでいておかえりになりました。それから三四日して、私が午後から伺い、おそいお昼をメバル[#「メバル」に傍点]で御馳走になり、お母さんのお云いつけで、お墓詣りをすると云ったら伯父さんも一緒に出られました。村会議員の選挙などの話があってひとが来たりし、夕方私がおいとまする迄、やはり面白そうにお話しでした。「自分はいろいろ悲観するようなときは百合子さんの笑い顔を思い出して元気を出す」そんなことを云っていらしった。家の整理についてのお話も出ました。土地六百坪一括しては買い手がつきにくいから区画して手ばなしたいとか、鶏舎はよそへほぐして売るとか。
そのときも、私が着いた日も、伯父さんは私の前ではお酒召上らないが、やっぱり上っているらしい様子なので、よくよくそのことを申上げたら、タバコはやめにくいが酒はなくても平気と云っていらしった。あなたのお手紙にあったことを私は自分の出発の時刻をお知らせするハガキにわざわざ改めて書いて上げました。
九日の夜、私は十二日の上《のぼ》りの寝台券を買った。十日の午後七時頃、夕飯をたべようとしていたら、野原から電話。伯父さん口が利けんようになったから、多賀子をかえ
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