判所や市ヶ谷へゆけるの。
木星社の印税は第一回分は三月五日によこすことになって居ります。それで、ではやっぱり万年筆を買いましょう。あなたの顔を見たらそれを買おうと仰云る思いつきの心持がよく分りました。そして、ダイヤモンド社でやらせましょう。装幀は小堀鞆音の息子で、ツルゲーネフ全集をやった人。古九谷のような赭地《あかじ》に緑のこんな形の飾、[#図1、縦書き手書きで「文芸評論集」。その周りに2重に雲形の線]その中に文学評論集と墨でかいて右肩に著者の名。刷ることは千部刷りました。
もう一つのおくりものフリードリッヒ『二巻選集』[自注6]も私は少し得意です。もうとうに買って大切にしてもっているのだから。古典に対する私の理解力については御懸念は決して決していりません。私はここで又ここらしい激しい波浪の間に在るのです。船は小さいと云っても、近代科学の設備を怠っては居りません。私は小さい造作がいかに科学的かということが、今日の価値であると信じているのですから。
ジイドは、その作家的矛盾を自分から合理化すべきではなくて、ジイドが真に誠実であらんと欲するなら自分の観念的な誠実ぶりのポーズをきびしく
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