つれて来ました。この間大雪の折、『婦人公論』から写真をとりに来て、私は太郎と雪の中に傘をさして立ってとって貰いました。そして、けさついたお手紙の私への宛名を切って、そのとおりの字を写真にとって印にこしらえます。これは国男夫婦が印屋へやって私の誕生日のお祝いにくれます。たのしみです。それで検印するの。
 山崎の伯父様のいかめし型は適評です。柔道の先生のことは勿論よく承知して居ります。いろいろ考えちがいをすることはありませんです。きのう、こちらの家へはじめての本の小包着。きょうもう一つ(衣類の方)着。
 早く散歩に出られるようにおなりになるといい。久しいことですものね、もう。本当に日当でポカポカさせてあげたい。今年は一月の二十七日が満月でした。ここからも月がよく見えます。窓から私を訪ねて来ました。一月八日と十六日に書いた分が届いたのでしたね。これは第五信です。では お大事に

 二月八日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 目白より(男の人がスキーをしている写真の絵はがき)〕

 二月八日。きのうの夜小雨の中を神田へ本を買いに行ったらこのエハガキが目についたのでお送りいたします。栄さんがきょう上林への
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