から」とケロリとしている。別の方法をとりますから少しお待ち下さい。食慾がお出になったのは何よりです。私の方も、いろいろ家の落付く前のゴタゴタで気がつかれているが御安心下さい。然し、真面目に私は、生活の形態というものについて考えます。もっと下らぬ労力をはぶいた、しかも「お姉様」的でない生活はないものかと。あなたは御自分の家として、どのような形をお考えですか。どういうのがいいとお思いになる? 私は勉強、休養、を主眼にした極めて便利な家に、一人でやってゆけるような形で住むのがどうも一等らしく思えます。日本の家では、出かける前に雨戸をしめる、そのことだけでも大変です。一つ大きな勉強部屋、あと、八畳(客間、食堂)に四畳半位、台所(ごく能率的にする)湯殿。そして入口のドア一つピシとしめれば全部よろしいという工合なの。そして、手伝いの人に時間制で来て貰うというようなの。何か一つ大いに考える必要があります。この頃私は前よりも一層勉強が主の生活の心持なのだもの。日本建の家は家を守るための人手を余り要求しすぎます。生活も、その時代のいろいろの必要からかわるものですね。
きょう、咲枝が太郎を初めてこの家に
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