[#図2、「のり」に丸囲みの手書き文字。「り」は小さく頭の部分が「の」の下隙間に入る]と書いた札の下っている隣家の様子、なかなかリアリスティックなのですが、中心になるおかみさんがこの家のおかみとして※[#「藹」の「言」に代えて「月」」、第3水準1−91−26]《ろう》たけていすぎるのです。「一言に云えば背がすらりとしていすぎるんだよ」稲公の言。それ者あがりとしても生活が滲みついていず、「築地」の絵(知っていらっしゃったかしら。中年のいかにも粋な女が黒ちりめんの羽織で一寸しなをして立っているところ)が浮いていて、甘く且つ通俗になっている。清方の通俗性、插画性は、或マンネリスムの美の内容にある。随筆などにもこれは出ている。いつも情景を鏡花、一葉、荷風、万太郎で。これもお目にかけましょう。
荷風の「※[#「さんずい+墨」、第3水準1−87−25]東綺譚」は本年中の傑作と云われています。それについてハイと云えるところと云えぬところとある。すこし彼の作品をよみ、いろいろ感想もあるが、私はふと里見※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]と比較して見て面白く思いました。※[#「弓+享」、第3水準
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