ニりとめられなければ一家離散の由。
あなたがいろいろ親切にたずねて下さるのをよろこんで居ります。島田に対しての呪《のろい》には苦笑しますが。――
私の手紙は又別に書きます。混同してしまいたくないから。
お弁当を外からちっとも入れられないと何だか不自由がましたのではないかと心配しがちですが、この間のお話で何だか大変安心しました。案外の便利もあるものですね。
どうかお大事に。リンゴの液が腸のため体のためによいのを読むので、どうかして汁だけめしあがれないものかしら。噛《か》んでカスを出すというのも不便であるし。何かよい工夫はないでしょうか。では又。いろいろのお喋りを後ほど。
八月八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕
第二十三信 けさは珍しく汗をかかないで目をさましたと思ったら、午後はやはりむして来た。今年は例年になく夕立がありません。私はおお暑いと息苦しく感じる毎に、そこの建物の上へ大きい大きい如露をもって行ってサーサァと思いきり水を注ぎかけてあげたい感じです。
工合はいかがですか。寝ていらして背中がむれるでしょう。ベッドの上で体を右へまわしておいて、体とベッドの
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