いて吹きとばされて居りますね。ペンで書くと抵抗があってくたびれるので一寸このような鉛筆。
私の体は七日の夜(ハガキを書いた晩)から二三日又一寸後戻りをして熱は出ませんが食事がちゃんとゆかず、まだブラブラです。自分の思っていたより疲れていたと見えます。しかし、もうこの順で段々よくなりますからどうぞ御安心下さい。ことしはあなたにもなかなか大変な夏でしたでしょう。残暑になってから却ってよくないのね。弱っていらっしゃいませんか。
私は努力して頭の中をカラにしてボンヤリしようとして居ります。
二階で臥ている。時々下へ降りる。そして、太郎とお喋りを致します。
太郎はこの頃ハッパ、アーチャン。イヤダイヤダ。その他喋り、こちらの云うことはもう物語がわかります。家はこの頃病人続出でね、スエ子は大腸カタルがひどくなりかけて目下慶応入院中です。然しずっと経過はよくて、発病後一週間ばかりですが、却って私を追いこし、もう外出出来るしすぐ退院いたします。私も、もう数日後には面会に出かけます。本当に御心配下さらないように。小さい声で白状すればね、あなたがどこかへお行きと書いて下すった時分、どこかへ行っておけ
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