の連中は小ぢんまりとしたものをこしらえ直して暮そうという計画なのです。
 私が病院から帰って来た時分、スエ子は是非私と住みたい心持で、私もそれはやむを得まいと思って居りましたが、この頃ではスエ子が自身の職業をもつ条件や何かでやっぱり国男たちと暮し、後には一本立ちになるプランに変更です。だから私は私で自分の一番よいと思う暮しかたをすればよくなったので大変楽です。去年の六月頃詩人[自注6]である良人に死別した女のひとで、おひささんというおとなしい人がいるのでもしかしたらそのひとに家のことを見て貰うかもしれません、それが好都合にゆけば私は殆ど幸福というに近い暮しが出来るのですが――私の条件としてはね。この頃私は仕事というか文学についての勉強心というか猛烈であって、女学生のようです。愈※[#二の字点、1−2−22]《いよいよ》日常を単純にしようと思うの。生活の様々な経験はそういうためにいつしか大変私のためになっているのが愉快です。そのために時間や精力を費すべきものとそうでないものとの区別がはっきり感情の上でしていて。田村俊子さんがアメリカからかえって来て、この間の雨の日、浦和の田舎の名物の鯉こ
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