も興味がある。財産を大学に寄付し、しかも生活は安定であり得る方法において生死に処する道が見出されている。そこを白鳥が教えられたと感じているところ。
 私は、相変らずいろいろのことを面白く観察し不自由な毎日の生活をもやはりそのように自分ながらあちらこちらから観察し暮して居ります。私はますます物事に深くそして広い感興をもち得る人間になりたいと思って居ります。体を丈夫にして、ね。それにしても、この風はマア、何だろう!
 作家の感性のことについて。感性のことはやはり究極は見かたの問題だし、人を動かす作品の力がただ写実では足りなく、ロマンチックな要素がいるというAさんの見解もロマンチックというだけではずっているし、時間があったら一寸した作家としての経験を土台としてこのことをも書いて見たい。いろいろやりたいことが多く、私は自分が余り精力的でないナなど思います。今、私のところは女中兼作家の生活故、マア、ごみをためてもかくつもりです。
 島田の父上のお体は相変らず。わかもとが大変お気に入って居ります。気は心だから、こちらからお送り致して居ります。達治さんは自動車隊ですってね。お母様のおたよりにありまし
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