プロレタリア作家同盟は現在七の支部と十四の支部準備会とを全国にもっている。支部によって指導される文学サークルは凡そ二百十余もある。然し、大阪、高知、長野等拡大中央委員会にわざわざ代表が出席した程比較的強力な支部からの報告でさえ、その中には一言も、支部に於ける婦人委員会の問題、婦人大衆に対する文学的働きかけについての対策というものは言及されていなかった。
 これは作家同盟婦人委員会の活動の階級的任務が、全国の支部にはまるで理解されていなかった証拠なのだ。
 作家同盟婦人委員会が、プロレタリア文学における婦人の広汎な積極的な活動は真に階級的な文化闘争の一翼として、どれほど重大な意味をもつものであるか、各支部はこの分野の活動を直ちにとりあげるべきであることをいち早く各支部に徹底させることを遅らした。それが、拡大中央委員会に対する各支部の報告に現われた欠陥の明瞭な原因の一つだ。けれども、この現象を日本におけるプロレタリア文化運動全般から観察すると、そこにわれわれは、実にはっきりと階級的文化活動における婦人に関する分野の一般的立ちおくれを見ることが出来る。プロレタリア・農民婦人の文化水準は敵のブ
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