身の熱い階級闘争を感じずにはいられぬ情勢に来ているのだ。
 だが、プロレタリア作家たちは、プロレタリア・農民が解放へ向って闘う複雑な現実の一部として、あますところなくこれらの一見些細な、然し根強い婦人の日常闘争の事実を、芸術化しているとは云い得ない。
 プロレタリア・農民自身の語りて[#「語りて」に傍点]としての婦人作家がこういう情勢の中からどしどし新しく出て来てはいない。
 日本プロレタリア作家同盟は、婦人作家をこめて正しい線に立つ全プロレタリア作家がその文学活動においてこれまでは大衆の半数者としての婦人の闘争の注意深い取扱いをやや見落していたことを厳しく自己批判した。この立ちおくれを急速にとりかえし、プロレタリア文学の中に解放運動における婦人大衆の独特な歴史的実践が階級全体の闘争との生々しい連関においてもっともっと隈なく描かれるように、婦人のプロレタリア・農民作家がドシドシ文学サークル員・通信員の中から養成されるように、日本プロレタリア作家同盟の全活動を鼓舞するため、婦人委員会というものが設けられたのだ。
 日本プロレタリア作家同盟が、婦人の文学における活動へ特別こういう注意を向け
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