つの階級的な婦人雑誌『働く婦人』の編輯には、他の文化団体からの参加とともに作家同盟に属す婦人作家たちが重大な役割を果しつつある。文学座談会、文学講習会、文学サークル等の活動で、婦人委員会は作家同盟の各専門部門と緊密に結びつき、すべての機会を掴んで、組織的にプロレタリア文学活動へ職場の婦人大衆を導き出すための努力をやっている。
 去る十二月の作家同盟拡大中央委員会では、二万五千の読者をもつ『文学新聞』に婦人欄を設けることが決定された。
 誰でも知る通り『文学新聞』は、サークルをつくってゆくための手がかりとして役立つ大切な組織者だ。『プロレタリア文学』を読まぬ人々も『文学新聞』はよむ。『文学新聞』の婦人読者を組織し、更に婦人読者を獲得し、通信員・サークル員をつくって行く上にも『文学新聞』の婦人欄は特別意義あるものとして現れるわけなのだ。
 ところで、この拡大中央委員会を契機として、作家同盟は、婦人委員会の活動について一つの大きい欠点を発見した。拡大中央委員会に向ってなされた各地方支部の文学的組織活動の報告中に、各地方の婦人大衆に対する対策が全然とりあげられていなかったという事実だ。
 日本プロレタリア作家同盟は現在七の支部と十四の支部準備会とを全国にもっている。支部によって指導される文学サークルは凡そ二百十余もある。然し、大阪、高知、長野等拡大中央委員会にわざわざ代表が出席した程比較的強力な支部からの報告でさえ、その中には一言も、支部に於ける婦人委員会の問題、婦人大衆に対する文学的働きかけについての対策というものは言及されていなかった。
 これは作家同盟婦人委員会の活動の階級的任務が、全国の支部にはまるで理解されていなかった証拠なのだ。
 作家同盟婦人委員会が、プロレタリア文学における婦人の広汎な積極的な活動は真に階級的な文化闘争の一翼として、どれほど重大な意味をもつものであるか、各支部はこの分野の活動を直ちにとりあげるべきであることをいち早く各支部に徹底させることを遅らした。それが、拡大中央委員会に対する各支部の報告に現われた欠陥の明瞭な原因の一つだ。けれども、この現象を日本におけるプロレタリア文化運動全般から観察すると、そこにわれわれは、実にはっきりと階級的文化活動における婦人に関する分野の一般的立ちおくれを見ることが出来る。プロレタリア・農民婦人の文化水準は敵のブ
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