ある。
「共産党との関係を云えッ※[#感嘆符二つ、1−8−75]」
「――そういきなり呶鳴ったって、何が何だか分りゃしない」
そう自分は云った。
「それはどういうことなんです」
「フム。……じゃ一つ一つ行こう」
特徴的に狭い額に、深い横皺のある賤しい顔つきをした男は警視庁と印刷のしてあるケイ紙を出し、そこへ、
赤旗
共青
資金関係
そんな風な項目を書き並べた。
「サア、いつから赤旗を読んでる!」
自分はそういうものは知らない。そう答えるや、
「嘘ォつけェ!」
狭い室でうしろの窓硝子がビリビリするような大声だ。呶鳴りながら、野蛮な顔の相好を二目と見られぬ有様に引歪め、
「貴様、宮本からもらって読んでるじゃないかッ※[#感嘆符二つ、1−8−75]」
ドズン!
何というこれは愚かな嘘であろう。
「知らない、そんなもの」
「知らないィ?」
「知らない」
「人をォ……どこまで馬鹿にするつもりだ」
「知らないんだから仕様がない」
「云わんか」
「…………」
「畜生! いい気になりゃがってェ※[#感嘆符二つ、1−8−75]」
竹刀が頭へ横なぐりに来た。
「どうだ! 云え※
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