半年経とうが帰さないと脅かされて、放ぽり込んで置かれるのであるが、その学生と自分の金の問題とが妙に連関しているようで、しかも心当りもなく、結局、どこの誰がどう清算しようと、知らない事は知らない事だと、腰を据えるしか仕方がないのであった。
 女の同志は、
「本庁の奴、私を見て、なァんだもう来ていたのか! って、あきれてたわ」
 この前は拘留があけると警察から真直ステーションへつれてゆかれ、汽車にのせられ、国元へ送り帰されたのだそうだ。鉄道病院の模範看護婦で、日本大学の夜学で勉強したことがある――。
「そこであんまりとんちんかん[#「とんちんかん」に傍点]な社会学の講義をきかされたんで、妙だ、妙だと思ったのがこっちへ来る始りなのよ」
 可笑《おか》しそうに笑いながら、
「自分で働いてりゃ、馬鹿だってその位気がつくわよ、ねエ」
 サークルの話も出た。文化団体のサークル活動が新しい方針によって実行されるようになってから日の浅いせいもあり、組合のアジプロ活動などと、まだ十分うまく結合、利用されていない――。
「あなた方の活動の日程に、この問題が本気でとりあげられています?」
 女の同志は、
「さ
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