を運んで行く「みかん箱」にまで「第何号」「鶏舎専用」などと書いて居る。
 可愛らしい事だと思って見て居ると、バタバタ、バタバタ一人ではねくり返って居た八つの子がそばによって来て私の□□[#「□□」に「(二字分空白)」の注記]を見てくれと云う。
 手を引っぱられて金網の外からのぞくと、拇指位のやせたのが三つ四つ見えるだけで、掌の長さ位になっていい形恰《かっこう》にくくれて肥ったのが見つからない。
「見えないじゃあないの
と云うと、あっちへ馳けたり此っちへ馳けたりして葉かげをのぞいたがどうしても分らない。〔以下欠〕



底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本出版社
   1986(昭和61)年3月20日初版発行
※1915(大正4)年9月20日執筆の習作です。
入力:柴田卓治
校正:土屋隆
2008年2月28日作成
青空文庫作成ファイル:
このファイルは、インターネットの図書館、青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)で作られました。入力、校正、制作にあたったのは、ボランティアの皆さんです。
前へ 終わり
全4ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング