れているのはソヴェト同盟の労働科だ。
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労働科学生中ロシア共産党への組織率(一九二八年)
     ロシア共産党  青年同盟
 昼間   三二・一   四七・三
 夜間   三三・八   四〇・六
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 一九二九年には十一万三千人あった技術家、熟練工を一九三三年にはその殆ど四倍、四十三万五千人余にしようとする。
 既に、千五百十二の中等学校(学生十五万四千)のうち七百四十三校が工芸技術学校となった。工場学校は百二十万人の溌溂たる勤労青年に、より高い技術を授けつつある。
 農村の青年もすててはおかれない。十三万八千人の農村青年が、社会主義農業建設のために千二百十六の学校で勉強している。
 彼等の中には、三十万人の労働通信員、二百三十九万三千三百六十三人の青年同盟員が働いている。
 彼等は階級の鍛冶屋だ。世界の労働者、農民の解放、ソヴェト政権の確立に向って、力強く槌を、コンパスを、トラクターを動かしているのだ。

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――輝かしい少数民族の生活――
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 ところで、このような素晴らしい文化建設はソヴェト同盟内の少数民族の日常生活を、どんな工合に変えているだろうか。
 誰でも知る通り、ソヴェト同盟は地球の六分の一を占める大国だ。北は北極から、南は砂漠。そこには綿が生え、駱駝《らくだ》しか歩けないような地域までひろがっている。ペルシャやアフガニスタンはすぐ隣りだ。蒙古と国境がくっついている。その中に、二十五の人種が棲んでいる。ロシアとひとくちに云っても、例えば第十六回ロシア共産党大会のあった時分のモスクワの街を歩いて見る。
 赤いネクタイのロシア人のピオニェールが歩いてく後から、日本の木綿縞の長ドテラを引っかけたような装のウズベーク人が、長靴でノシノシやって来る。
 長い下髪を赤い布で飾った小柄な女は馬乳で有名なクルムィク人の婦人代表だ。
 颯《さ》っと短いマントに短剣を吊って、素早く胡瓜売りの手車の出ている角を曲ったのは、舞踊で世界的名声のあるカザークの若者だ。
 ホテルの食堂で、英語、ドイツ語がロシア語と混って響くばかりでない。喉音の多い東洋語が活々とあっちこっちで交わされる。――
 十月革命が、各民族の根本的な自立をさせるまで、ロシアの中のこれ等の少数民族はどんなに暮していただろう
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