義的生産にあって、少数の技師だけが卓抜ならいいという事は決して云えない。あらゆる勤労者の技術水準が、去年よりは今年、今年よりは来年と高められなければならない。そのことについてはスターリンも頻りに云っている。
「再建設期に於ては技術が一切の問題を解決する!」
 労働者、農民の技術向上については、実に切迫した必要があるのだ。何しろ、五ヵ年計画の初め、ソヴェト同盟には五十万の失業者――未就業労働者があった。五年間にその半数を生産の中に吸収出来ればよいと予定されていた。ここでも亦、愉快な予定はずれが生じた。――生産の予想外の拡大は予想外な速度で労働力を生産の各部へ吸い込んでしまった。失業者はソヴェト同盟から消えた。これまでは、未就業労働者に職場割当てを任務としていたソヴェト同盟内の職業紹介所の仕事は性質がかわって来た。労働者の合理的配給所とならなければならない。
 一九三〇年の冬、世界じゅうの注視の的となったソヴェト同盟内の重要な地位にある技師、学者、役人等による大反革命陰謀、産業党の例を見ても、プロレタリア階級の技術家がどんなに大事かは明瞭だ。
 ロシア共産党は大会において、生産組合、労働組合は直接工場、学校、農場で、技術家、熟練工養成のために、あらゆる支持を与えている。
 五ヵ年計画が着手された当時、最高経済会議の調査によると、熟練工、不熟練工の比率はこうだった。
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熟練工    四一パーセント
不熟練工   五九パーセント
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 それを五ヵ年計画によって、一九三三年の終りまでには熟練工六〇パーセント、つまりドイツ、アメリカの技術水準まで高めようとしているのだ。
 一九二七年度の技術学校卒業生を、産別、出身、ロシア共産党所属率とわけて見るとこういう工合だ。
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 産別    労働者出身率 ロシア共産党及青年同盟への組織率
工業(昼間)  二四・六   二〇・七
〃(夜間)   七二・五   四〇・〇
農業      一〇・二   三八・七
教育      一三・八   三九・九
医業      二三・六   一七・〇
経済生産    一五・五   二九・七
芸術      一〇・一    五・五
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 現在工場に働き、しかも正常な予備教育はうけられなかった労働者、農民が最も大多数包括さ
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