軍事問題におけるマルクス・レーニン主義の根本原理」「軍事の出版問題について」の説明をやる。六十二名の作家が動員された。
 この講習の期間に作家聴講生は、二つの壁新聞を発行し、ほかに有益な軍事遊戯を思いついた。軍時に、ソヴェト軍隊と、交戦中の敵国住民大衆にアッピールするものと仮定したパンフレット、それにはクラブ用の小脚本、レヴュー台本、プラカート用の詩、スローガンなどを盛りこんだパンフレットの発行である。
 軍事状態の中にあって各自の文学的政治的軍事的知識を活用し、敏捷に明快に文学活動をやる稽古だから、ゆっくり構えていては何にもならない。規則をきめると、或る作家たちは一枚の封筒を渡された。中に、めいめいが書くべき主題・形式、長さを命令した紙が入っている。翌朝十時までに必要に応じた詩・論文・スローガン・ビラなどを芸術的作品にまとめて出さなければならないというわけである。
 規定通り、作品は集った。これらの作品が研究された。討論会が持たれた。どの作品も仮定された軍事行動の階級的本質については正しく認識していた。
 だが、その基礎的な正しさにも拘らず、少なからず部分的な誤りや知識の不完全さを示
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