党員作家であるアンナ・カラヴァーエヴァも出かけた。
 彼等は、赤軍兵が張ってくれた後方のテントの中で、手帳をひねくりまわしてはいなかった。突撃に加わり、一緒に泥をほじり、夜の歩哨にも伴れ立った。司令部とともに、視察した。前線での文学の夕べを組織し、即興芝居への台本を提供した。壁新聞を手伝った。
 その演習後文学新聞に赤軍指導者の面白い批判が掲載された。
 今度の経験によってもロカフの組織は、プロレタリア作家の階級的発展に必須な一分野であることが明らかにされた。一般赤軍兵は満足をもって、プロレタリア作家の進出を迎えた。赤軍は労働者、農民以外の何者でもない。工場・農村のプロレタリアートに密接に結びついて、その文化的|自発性《イニシアチーブ》を助け指導するプロレタリア作家の赤色陸海軍への結びつきは当然のものである。演習中、作家たちはわれわれ赤軍にいろいろのことを教えた。同時に作家たちも多くのことを学んだのは確かだが……率直に云うと、作家たちはまだどうも白手套をはめている[#「白手套をはめている」に傍点]。――つまり、まだお客で幾分儀式ばってる。そういう批評であった。
 ロカフは益々真面目な活
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