た富農撲滅、農村の「十月」が、ソヴェトの社会主義社会建設史の頁に輝く時、その陰にかくれた農村通信員の革命的功績は決して只忘られるものではない。
活動的な農村通信員達は、村の図書館について、「民衆の家」の文学研究会について、いろんな報告を送ってよこす。
だが、それは大抵、農村通信員各個人個人の意見で書かれたものである。例えば、俺の村の「民衆の家」は折角「赤い隅」をもっていながら、今年の前四分の一半期には一冊も新しい本を買わなかった。国立出版所は、新刊書の配布網についてもっと研究するべきだ。そういうことは書いて来る。しかし、村の人々はどういう小説を読みたがっているか、またどの小説に対してどういう風に大衆的に批評したかというような綜合的な報告は概してすくない。自分は何々を読んだ。だが、作者は果して村の生活をよく知ってるのだろうか? 云々。そういうのはよく見かける。けれども、五人なり十人なりの農民が集団的に与えた作品評というものは、これまで殆ど見当らなかった。
ところが、一九三〇年一つの興味ある本が国立出版所から出た。それは、アー・エム・トポーロフという男の仕事である。
モスクワから五
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