スローガンとした「工業化」の上へはもう一つ書かれぬ言葉、「反革命的」という文句があったのである。
 ところで「パルチザン」は国内戦当時におけるソヴェト農民大衆の革命的役割の見本であるが、農民作家は、では「赤いパルチザン」の業績を、芸術活動で、どう記録しているだろうか。ファジェーエフの「壊滅」、フセワロード・イワノフの「装甲列車」及「パルチザン」、フールマノフの「赤色親衛隊」などを凌駕する、どのような作品が農民作家によって呈出されたであろうか?
 ファジェーエフは「ラップ」の作家だ。イワノフは同伴者作家として、まだ新鮮な力のあった時分「装甲列車」を書いた。赤軍も、農民とは切りはなせない。なぜなら、赤軍は労働者農民の武力なのだから。しかし「騎兵隊」を書いたバーベリは同伴者作家団に属する。近頃「第一騎兵隊」を書いて、上演されている作家ウィシニェフスキーは農民作家だろうか、ちがう。「ラップ」の若いコムソモールの出身の作家である。
 現に、一九三〇年七月の第十六回ロシア共産党大会で、最近二年間の傑作として紹介された農村を主題とする文学作品、ショーロホフの「静かなドン」にしろ、ゴルブーノフの「解氷
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