同盟には一九二七年にさえ既に三千七百以上の労働者倶楽部があり、百三十万人余のクラブ員を擁していた。小図書館の数は殆ど八千四百。勤労者は、それ等のクラブまたは工場、役所内の研究会で、政治教程《ポリトグラーモタ》とともに大抵音楽とか、劇、または文学を、めいめいの好みに従って研究している。
ソヴェト同盟内の作家の作品はもとより、外国のプロレタリア作家の代表作まで、『小説新聞』に印刷され、十五カペイキで手に入る。国立出版所はロシア及びヨーロッパ各国文学古典の価値あるものから現代の作品までを廉価版にして出した。詩の朗読会、作品朗読会はモスクワなどでは一週間に一度ぐらいずつの割合できっとどこかのクラブで催されている。
職場の壁新聞・工場新聞は、三十万人の労働通信員、農村通信員に意見発表の機会を与えているばかりではない。やっと二年前に文字を書くことを覚えた六十の婆さんに向っても、開放されている。工場内には、はじめ、極く日常の出来事に関する感想を壁新聞に投書しているうち、ふと文学研究会へ出席するようになり、今では正規の労働通信員であると同時に、短篇小説や小評論をも書き出しているような若い男女が沢山
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