労働者の工場管理権を、自分達の手で、ブルジョアへ奪還したいと思う。反革命的策動が組織された。労働者出の工場管理者を、いろいろなことで工場内の反革命分子がいじめる。管理者は自分の部署から退かぬ。彼にとって、工場管理者という自身の地位は、ブルジョア的な考えかたでの立身――成りあがってつかんだ地位ではない。プロレタリアートによって、そこを守れ! と命ぜられた、責任の重い生産における前線の部署である。いかに恥しめられようと、退かない。そこで、反革命分子がソヴェト法律を逆用して遂にその労働者出の工場管理者を国家保安部に捕縛させた。然し、工場内の革命的分子は、黙って見ていない。熱心な、階級的な彼等の努力が、最後に反革命分子の一人の心をうごかし自己批判をよびさました。そして、工場管理者のプロレタリア的正義は大衆の前に明かにされた。
 これは、モスクワの「エム・オー・エス・ペー・エス」劇場(モスクワ地方職業組合ソヴェトの劇場)に上演され、非常に大衆によろこばれた。
 ところで作家のキルションは、その後、その汽罐車製造工場と、どんな密接な関係を保って来ているであろうか? キルションのその後の作品はこれに
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