一、ロカフは芸術活動によって、赤色陸海軍の平和的・軍事的社会主義建設を活溌に再現するように努力すること。
一、赤色陸海軍を主題とした作品の出版を支持すること。
一、赤色陸海軍内の文学研究会を鼓舞し、絶えず指導すること。
一、赤色陸海軍の機関誌、壁新聞、クラブ集会、文学の夕べ等にロカフは常に作品を送り、講演者を送って援助すること。
一、プロレタリアの技術の一半として、正確な軍事知識を獲得し、普及すること。
一、軍事活動に作家も参加すること、等。
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十月初旬から中旬にかけて、モスクワ地方赤軍の演習があった。ロカフは演習へ参加するために積極的にプロレタリア作家を召集した。二十数名参加した。若い作家ばかりとは限らなかった。六十七歳のセラフィモーヴィッチが出かけた。「ツシマ」の作者ノヴィコフ・プリボイも出かけた。プロボイは日露戦争にバルチック艦隊の水兵として召集され、捕虜となって熊本にいたことがある。そして、バルチック海軍兵士の革命的組織に関係し、のち亡命して長くイギリスで海員生活をした。彼は殆どこれまで唯一のソヴェト海洋作家である。婦人の作家――もとは小学校の女教師で党員作家であるアンナ・カラヴァーエヴァも出かけた。
彼等は、赤軍兵が張ってくれた後方のテントの中で、手帳をひねくりまわしてはいなかった。突撃に加わり、一緒に泥をほじり、夜の歩哨にも伴れ立った。司令部とともに、視察した。前線での文学の夕べを組織し、即興芝居への台本を提供した。壁新聞を手伝った。
その演習後文学新聞に赤軍指導者の面白い批判が掲載された。
今度の経験によってもロカフの組織は、プロレタリア作家の階級的発展に必須な一分野であることが明らかにされた。一般赤軍兵は満足をもって、プロレタリア作家の進出を迎えた。赤軍は労働者、農民以外の何者でもない。工場・農村のプロレタリアートに密接に結びついて、その文化的|自発性《イニシアチーブ》を助け指導するプロレタリア作家の赤色陸海軍への結びつきは当然のものである。演習中、作家たちはわれわれ赤軍にいろいろのことを教えた。同時に作家たちも多くのことを学んだのは確かだが……率直に云うと、作家たちはまだどうも白手套をはめている[#「白手套をはめている」に傍点]。――つまり、まだお客で幾分儀式ばってる。そういう批評であった。
ロカフは益々真面目な活
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