呉れ! とステーションまで送った。――
このような、社会主義国の軍隊独特の文化活動について、プロレタリア作家はどんな芸術記録をつくっているだろうか?
ソヴキノが、赤軍文化教育部と連絡をもって「極東特派軍」という興味ふかい記録映画をこしらえた。
工場から、戦地慰問に特派された男女労働者の代表は、新聞に短い労働者通信をのせた。然しプロレタリア作家団体はどんな組織的活動もしなかった。赤軍文化教育部と、プロレタリア作家団体とはきっちり結び合っていなかった。工場がしたように、代表を送ることさえしなかった。
また、一九一七年の「十月」に赤色海軍が演じた英雄的役割は、ソヴェト映画の傑作「戦艦ポチョムキン」に、永久的足跡をのこしている。
今日における赤色海軍のもっている役割について書かれたどんなプロレタリア小説があるだろうか?――
五ヵ年計画に着手されるとともに、ソヴェトのプロレタリア作家たちは、プロレタリア文学から未来派風な或は機械主義的マルキシズムをなくすること、唯物弁証法的な創作方法への進展を、闘いとった。
仮りに、今日の事態が、世界平和と社会主義防衛のためにソヴェトの赤色陸海軍が動員されなければならないことになったとする。プロレタリア作家は彼の武器と、鉛筆と手帳とをもって、防衛に立つであろう。
彼等は勇敢に行動するだろう。彼等は勇敢に記録するだろう。しかし、果して彼等は赤軍の編成についてどれだけの知識をもっているだろうか。どの程度の階級的な軍事知識があるか。同時に、軍事的行動の間に要求される広汎で敏捷な文化活動の任務をテキパキ処理して行く程ふだんから赤軍の兵士たちの生活に親しく接しているかどうかという問題になると、現在のところ否と答えざるを得ない。
ソヴェトのプロレタリア作家達は反ソヴェト・カンパニアというモメントから、ボルシェヴィキらしく、階級的発展に役立つものをとりあげた。ゴーリキー。デミヤン・ベードヌイ。セラフィモーヴィッチ。ファジェーエフ。バトラーク。プリボイ。グラトコフ。イズバフ。ベズィメンスキーなどとバルチック艦隊文学研究会員、赤軍機関誌編輯者、赤軍劇場管理者などが集り、赤色陸海軍文学協会《ロカフ》中央評議会を結成した。一九三〇年初秋のことである。
ロカフ中央評議会の決議は左のようなものであった。
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