本の人民の独立に関する一つの問題としてあれほどみんなが関心をもった大学法案、二十七名の中立的な学者たちが反対署名した非日委員会問題、「南原の線を守る」という表現がある意味では常識となって来ているほど広汎に人事院とりしまり規則に反対している人々の群。
「南原の線」は、彼がワシントンの占領地教育問題の会議で行った演説の内容をつたえられてからは、平和を確保しようとする日本の全面講和の問題に対する一般の人々の態度のなかへも延びて来た。それらが、福田恆存にとって、「自覚せる実践をしいられるほど決定的なモメントをもっていないことです。」「すなわち八月十五日の天皇の放送ほど決定的ではない。」というのは、どういうことであるのだろうか、と。
「中共の確定的勝利」は、地球上もっとも大きい人口をもつ中華人民共和国の誕生によって、日本人民をこめるアジアの未来の運命の方向が決定的に変革された人類史上のできごとである。そういう内容のことがらを、政府の労働者階級抑圧のためのねつ造が大きく作用している下山、三鷹、松川、平の事件などと並べ、その大部分がいかにもあいまいで、うそでないにしても、ほんとの程度がはっきりしない
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