がら、最後の質問を出した。
「左の端にもう一つ大天幕がある。あれは誰のだ?」
「――……」
スーラーブは、答えがないので捕虜の顔を見た。男は、相変らず正面を向いて、スーラーブの声が聴えなかったと思われる様子だ。スーラーブは、捕虜の顔付に注意しながら、もう一遍、問を繰返した。
「あの左の端の天幕は誰のだ?」
スーラーブの言葉が終るか終らないのに捕虜は、ずっぱり云った。
「知りません!」
スーラーブは、覚えずむらむらとした。男の調子はひどく不誠実で、この問だけにはこう答えると、宛然前から定めていたように響いたのであった。スーラーブは、燃えるような眼付で捕虜を睨みつけた。
「よく視ろ!」
やっと、失望と憤怒とを制し、彼は云った。
「左手、ずっと左の端だ。誰のだ? 知らぬ筈はない」
「――……」
「誰のだというのに!」
スーラーブは、ここぞという処で裏切られた口惜しさに、相手を張り倒したいほどの衝動にかられた。
三十六
自分が知りたいのは、狙ってルスタムを殺そうためではない。正反対だ。知らしてさえくれたら、今日これからの手合せに、血も流さず、永年、遠くから牽き合
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