わからぬ――」
「――?」
ギーウの顔に顕れた意外の色は余り著しく、ルスタムに居心地わるい感じさえ起させた。
二十六
ルスタムは、顔を背向《そむ》けるようにして低く呟いた。
「そやつの年頃が、こじつけると、丁度卿も知っているあのサアンガンのことと符合する。風体も何だかあの辺の者らしいではないか」
「ふむ……」
ギーウは、まといつきそうにする踊娘の一人をうるさそうに片手でどけた。
「――然し、変ではないか。あの時のことは何の実にもならなかったのだろう? 俺はそうきいたと覚えているが……」
「彼方に遣った使者は、そういう返事を持って来た。そのままにしていたのだが」
ギーウは、暫く沈黙した。そして考えた後、情のこもった調子で云った。
「何にしろ、こういう処にいるのはよくない。よい折だ。出かけよう」
「――出かけるのを強ち拒むのではないが、先に控えていることがいやだ。――俺は、多くの戦もしたが、まだ、敵か味方か判明せぬ者を殺したことはない」
ギーウは、一言一言の言葉で、がっしりしたルスタムの老いた肩を優しくたたくように云った。
「それもこれも、俺は、卿の退屈すぎる
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