けず、自分の生命も危くしない四日目にツスに逃れ去った。スーラーブの軍は、僅の死者、負傷者の手当をし、捨られた城の穀倉から、五十頭の驢馬に余る小麦、その他の糧食を奪い、更に前進して、もっと開いた曠野に出た。万一の場合退路を遮られないように、同時に、軍の全勢力を自由に働かせ得るように、地勢を調べて中央部となるべきスーラーブの野羊革の大天幕が張られた。そこは、背後に適当な距離を置いて、守るによい山裾の起伏の連った、延長十ファルサングばかりの緩やかな斜面を有った高地である。スーラーブは、陣地に立って、三方を展望した。父ルスタムの来るだろう西方の、ツスの辺は、内地イランの乾燥した、塩でもふいているかと思われる不毛の荒野の地平線の彼方に隠れていた。

        二十二

 カイ・カーウスは、国境の城塞を捨て逃れて来たフィズルの急報に全く愕かされた。彼は何よりも先ずシスタンに隠棲しているルスタムを動かす必要を感じた。けれども、最近ルスタムが戦場のかけ引に一向興味を失っているのは誰の目にも顕著であった。極近く南方イラン征討隊が派遣された時にも、ルスタムは固辞して受けなかった。その時親友のギーウに
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