一杯降注いで来るような両軍の鬨の声の裡に、ルスタムはイラン勢を背に負い、ツランの側にツラン人は立った。ルスタムは、偉きな躯を鞍の上で一ゆすりし、鉾とりあげ「さあ! 勝負!」と、それを持ちなおした。ツランの若戦士も、自分の鉾を執りなおした。がルスタムの顔ばかり見、さし迫った声で、
「卿はルスタムではないか?」と囁くように問いかけた。ルスタムは、殆ど返事をせず打ちかかるところであった。小癪な若者奴! ルスタムならどうしようというのだ。老人の俺を狙って功名しようというのか。昨夜、誰が、どんな気持で貴様を一目見たいと出て行ったか。生意気な浮薄な貴様に解りもしまい! 彼は、恐ろしい目をしてスーラーブを睨み据た。「余計な穿鑿《せんさく》は勝ってからにしろ。ルスタムが貴様の相手をすると思うか」憤りと悲しみと混り合って突き上げて来たルスタムは、唸りを立てて鉾を打ち下した。ツランの若者は、すばやく馬を躱《かわ》して左手から、ルスタムに攻めかけて来た。
三十九
怒ったルスタムの鉾先は猛烈を極めた。暫く、スーラーブは、やっと身を躱した。彼は、その戦士が老人であるのを認めた時、既に心の平
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