現代文学の広場
――創作方法のこと・そのほか――
宮本百合子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)炬燵《こたつ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)へど的に[#「へど的に」に傍点]むき出して
−−

 去年おしつまってから肉体派小説、中間小説の作者と一部の作家・批評家との間に、ちょっとしたやりとりがあって注目をひいた。
 その討論に、三好十郎も出場して「小豚派作家論」という題をもつ彼一流の毒舌的な評論をかいた。肉体派、中間小説派の作者たちとその作品のそまつな戦後的商品性を、へど的に[#「へど的に」に傍点]むき出してその安価さを排撃した。けれども、「小豚派作家論」と題してきり出された勇ましいその評論も、すえは何となししんみりして、最後のくだり一転は筆者がひとしおいとしく思っている心境小説の作家尾崎一雄を、ひいきしている故にたしなめるという前おきできめつける、歌舞伎ごのみの思い入れにおわった。ジャーナリズムの上に一年間も八方に向って文学的へど[#「へど」に傍点]をはきつづけることのできた強壮な三好十郎が、どうして「小豚派作家論」の終り
次へ
全21ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング