を知らないように自分の政府によって指導され扱われている日本の人々が、幾年かのちのまたこうした場合に立ちいたって、ついうっかり自分たちの現実判断をとりちがえ、植民地人民の世論調査によれば、などととんだ利用価値を発揮したりするあわれさを示さないように、わたしたちは手堅い自立の訓練を身につけなければならない。
こんどのアメリカ大統領選挙予測では、ギャラップ博士の米国世論調査所を筆頭に、アメリカのほとんどすべての世論調査機関が、失敗した。十一月六日、七日と『東京新聞』にのせられた小山栄三氏の「世論調査の誤差」は世論調査の技術について素人である多くの読者にとって興味と知識とを与えた。あの記述によって大統領選挙予測で、その調査所の権威を失墜させたのは今回のギャラップ博士の米国世論調査所その他の例ばかりでなかったことがわかった。一九三六年ルーズヴェルトとランドン両候補の間に大統領選挙がたたかわれたとき、当時アメリカにおいて世論調査の最大権威とされていた『リテラリ・ダイジェスト』誌の世論調査が、ランドンの勝利を予測し、誤差一八%で、ダイジェストは「四十八年間の光栄ある世論調査の歴史が汚れてしまった
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