へ、これからよみたい新聞の名をかいて、新聞読者調整事務所といういかめしいところへ送ってやれば、欲しい新聞がよめるというしかけになっていた。これまでよみたい新聞がよめないで、代りにとれる[#「とれる」に傍点]新聞でがまんしていた人々は、この際一つをやめて新しく一つに切りかえることも多かったろう。その際、同じとるなら代表的な新聞を、と考えるのが人情だと思う。かりに、そうして小新聞ととりかえられたただ一種類の大新聞が、かりにその世論調査で、日本人の政党支持を、民自党第一位としていたとすれば、その読者に批判力がない限り、やっぱりそうか、という風にその人としての世論もその方向に組織されがちである。内心あやしいと感じながら、その生活者としての本能の声に半ば耳をかしつつ、旧勢力に自分の運命を少くとも或る期間翻弄されるのである。

 世論調査の結果が、かならずしも自然にあるままの社会各層の民衆の意見をあらわすものでないという真実を、世界に公表したのが、こんどのアメリカにおける大統領選挙に関するギャラップその他の世論調査の敗北である。トルーマン大統領の敵手であった共和党の候補者デューイ夫妻の意外さと、ギ
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