の基盤で出来るのだろうか。吉田は腹の出来た政治家と云われている。事務的に科学的にものごとを処理する人柄よりも、ワッハッハという笑いかたで解決する東洋古風型であると云われる。
トルーマン大統領がこんどの選挙に勝利したについて、いくつかの大新聞でトルーマン個人の人柄が、新しくとりあげられている。正直だということ、謙遜で熱心であるということ、ユーモラスで人気を集めている、ということなど。だが、トルーマンはそういう個人の人柄で当選したのではなかった。日本の新首相のように、へたぐされしてばたばたと墜ちてゆく諸政党のわきにひかえて、時期を待っていて、政権掌握をしたのでもなかった。トルーマンには民主党のタフト・ハートレー法の撤廃、人種差別の撤廃、物価引き下げ、強国間の協力推進という、明白な綱領があった。それらを要求するアメリカの大衆の意志にこたえる決意を明らかにしたからこそ、その人々の意志に支えられてトルーマンは当選した。ウォーレスの公正な政治的態度にバックされながら。そして、世界の平和と民主を欲する数千万人の注視のもとに。
日本の新首相が施政方針演説もしないで公務員法案を押しきろうとすることは
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