現実の問題
宮本百合子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九三三年十一月〕
−−

『輝ク』を今日拝見していろいろ面白く感じ、同時に相すまなく感じました。この前原稿を御送りするよう、お約束しておきながらそれが果せず、少なからず御迷惑をかけたことについてです。何卒お許し下さい。あの節は毎日心にかかっているのに、あれやこれやでつい編輯の方にまごつかせるようになってしまいました。あながち私の怠慢とのみ申せぬ点もあったのです。あしからずお察し下さい。
 一昨日の早慶戦では、住んでいるところが外苑から近いので、夕方五時すぎ用があって外出したら、後から後からひどい群集で、電車にものれず、暫く往来でこの人出を見物しておりました。そしたら、もう早速暴行問題で、いやな心持です。新聞で見た応援の人字など、若々しく熱中した思いつきの面白さも感じられていたのに。そう思いました。このことにつづいて、スポーツに関し、私の心にきつく刻まれている思い出があります。それは多分プラーグかでオリンピックのあった時だと思います。まだ健在で
次へ
全3ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング