現実に立って
――婦人が政治をどう見るか――
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)謬《あやま》り
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)こわさ[#「こわさ」に傍点]を感じている
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新聞に、ぽつぽつと婦人代議士として立候補を予測される人々の写真などがのりはじめた。自分ではっきり立候補の計画をもっている婦人たちは、ふさわしいと判断した政党に入党手続をしたと報道されているし、立候補を予測されている人の中で、自分は絶対に立候補しないと明言している婦人たちもある。
選挙という私たちの新しい仕事につれて、婦人は政治をどう考えるかという問題が、目前の事実として段々はっきりして来た。婦人有権者の総数は二千百六十八万人あって、その数は男子有権者よりも四十五万名多い。婦人は自覚、向上して、棄権しないように、という忠言もあちらこちらで聞かれる。けれども、率直にそれら二千百六十八万人の婦人の感想を求めたら、彼女たちの何割が果して今日における日本の女性の責任として、自分たちが急に与えられた権利を理解しているだろうか。
先日或る座談会でそ
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