よろこばしい結果であって、根本には人と人との正しい結びつきを求めるのが、結婚の真の意味だろうといっていられた。
 その記事が私を打ったのも、若い女性の胸に結婚という響きがつたえられたとき、そこに湧くのが当然だろうと思われる新しい成長への希望や期待や欲求の愛らしく真摯なときめきがちっとも感じられないと索然とした思いであった。
 私たちの心には、結婚ときけば、そこに男と女とが互に協力し、困難の中にたすけあい、人間としてより高まろうとして営んでゆく日々の生活を思い描かずにはいられない熱いものがある。お互の、ひとには分らないほど深まりあった理解と、それ故の独特な愛の経営として結婚生活を感じとっているものがある。そして、少くとも人間らしい男女の結合としての結婚は、そのようなものでなければならないという翹望も明瞭に自覚されているのである。
 だけれども、今日二十歳をいくつか越したばかりの一部の若い女性の感覚が、結婚といえば子供、と結びついて行くだけの単純なものになってしまっているとすれば、それは不安なことだと思う。子供といえば母としてのその人たちも考えられるわけなのだけれど、母の情感が人間生活にそ
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