逆立ちの公・私
宮本百合子

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)捨科白《すてぜりふ》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四六年二・三月〕
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 先ごろ、ある婦人雑誌で、婦人の公的生活、私的生活という話題で、座談会を催す計画があったようにきいた。何かの都合で、それは実現されなかった。しかし、その話をきいたとき、わたしは、それは面白い話題のつかみかただと思った。提案者の意企は、どういうところにあったか知らないけれども、今日の日本の現実と向い合ってこのテーマが出て来るからには、まさか、婦人の参政権に伴って、婦人の日常性の中で、公的生活と、私的生活とは、どう調和するか、或は、どう調和させて行くべきかというような、官僚じみた視点に立って出されたのではないであろう。
 真にこのテーマが、今のわたし達の生きている現実の中で出された場合、先ず、今日の公的生活とは何であり、私的生活とは何であるか、そこから新しく見直されてゆかなければならない状況にある。そこから課題が展開されて、はじめて、生きた話となってゆくのではなかろうか。わ
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