八月号を見ていて感ずることであるが、雑誌の編輯というものも、面白いような妙なようなものである。この一つの雑誌に、「スタアリン治下の文学と作家生活」という座談会記事があり、ユウジン・リオンスという人の「ソヴィエトの作家」という文章があり、創作[#「創作」に傍点]の頭には勝野金政という人物の「モスクワ」という二百五十枚の小説がのっている。
アグネス・スメドレイ女史のルポルタアジュ「馬」は、単純に書かれた短いものであるが、中国の今日の作品から遠くおかれている読者に、魯迅の短篇や「阿Q正伝」に描かれている村の出来事や人物とは異った出来事、人物の活躍が、単純素朴な形で今日の中国の農村におこりつつあることを物語っている。
雑誌の内容についてはあくまで読者の判断にまかせられているのであろうが、そうとすれば今日の読者はいわば相当判断力を試めされかつ鍛えられている次第だと思う。ユウジン・リオンスという人はU・P特派員として六年ソヴェトにいたのだそうである。この人の文章を読むと、作家というものに対して筆者の抱いている評価、理解の低俗さに、どんな作家でも芸術の階級性以前の問題として一種の公憤を感ずるであ
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