つめたい水の中も情ない人の世よりはあたたかいと思ったと見える……人なみよりも勝れて美くしい人は命が短いと云う昔からの定規に彼の人ももれなかった」
殿はさとすようにまた人の世の定まった情ない事をさとすように云い終ってそっと目をとじる、耳のそばでは形のないものが、
「来るべき筈の運命ときまって居たことを今更歎くことは、あんまりおろかすぎる事じゃあないか?」
斯う云うようにきこえた。涙は目からポロポロ頬をつたわって落ちる。散った花のように身をなげ出して声をおしまず女達の泣いて居る間に紅一人は目をとじてうつむきもしずそのはっきりしたかおを蝋のように青くなって気を失ったように身うごきもしない。母君はふるえた声で、
「みんな私の心弱いためにね――ほんとうに大変なことになってしまった。そうわかった時に私が口をきいて早くまとめてしまえばよかったものを、ほんとうに……かんにんして御呉れ」
こんなことを云って母君は今更のように涙をながした。
殿は、みどりの髪をながく水底にわだかまらせて、白いかお、白い手をやわらかい娘のような藻はそっと包んでその間を赤い小老蝦はものめずらしそうに外の世界からフイに来
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