がらどちらへか御いでになったのでございますよ、マア、それからどちらへ御こしになったかはわかりませんですが」
「そうでございましたか、オオ、どこへいらっしゃったのでございましょう。実はさきほどから一寸二人ともとろりといたしましたらもうどこへか御出になってしまったのでございますもの」
 紅は礼を云うのも忘れて東の対にかけもどると、殿も母君も外の人達も御おきになってくらやみの中におどろきとかなしみとにとらわれて立って居る。
「わかりましてす」
 紅はたったそれだけ云ったきりで座ってしまって何も云えない。
「どうなすったの、早くおっしゃいよ」
 外の女達はすすめるけれ共息ははずむ、自分の罪はせめられる。
「只今紫の君様の御部屋にうかがいましたらもう三時も前にあの御部屋の前で悲しいうたを御うたいでしたが、高笑いを急にあそばしてどこへか行って御しまいあそばしたと云うことで……」
 紅はうっつぷしたまんま斯う答えた。
「エ? 紫の君の部屋に行ったって? どうしたんだろう」
 母君はふるえた、でもあきらめたような声で云う。人々の頭には雷のように、
「死んでしまった」
と云うことがひらめいた。けれ共各々
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