するようにだきおこした。夢と現のさかえに居た人はびっくりして目をあけると、美くしいかおにほのかな紅を染めて自分の体をしっかりかかえて居る。身をひいてどけようとしたけれども、その手をゆるめないでしっかりかかえたまんまで、
「御免、ほんとうに長い間いろいろ世話をやかせて」
 声ははっきりとして目はおだやかになって居る。
 紅はハッとした。「若しか若しか、今まで変で有ったのは、わざとして居たのではあるまいか」おどろきとよろこびにふるえながら、
「若様、御わかりあそばしますか、御気はたしかでございますか」
「わかりますかって? わかってるとも、美くしくてつれなくて――私は気がたしかときくの? たしかともたしかとも只私はかなしさに、なさけなさに……きれいなところは有るものをネエ」
 やっぱり正気にかえったのではなかった。
「ほんとうにネエ、私はまぼしいようなかがやきのある藻の林の中に身をしずめてじっとして居たくなってしまった。そしたら、ネエ、こんな悲しいことや辛いことは有るまいもの」
 しみじみと正気の人の云うように云って女をだいたままたおれてしまった。女はあわてて身をもがきながら、
「御はなし
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