てなのである。こんな犬のような僧も少なくはなかったが、心から、その若君の上をねがったものは必ずしも一人や二人ではなかった。
 馬鹿な子ほど可愛い親心、まして心も見めも美くしい我子が急に物狂おしくなったのを見て居る母君の心は却って自分の気が狂いそう、またたく燭の灯にその枯れたようなかおをてらしながら、
「ほんとうにどうしたらよかろう、神さまもわりあいにはまもって下さらず……彼の人もなまじ姿や心が美くしいからそんなかなしいことになったんだろう、――もうまにあわない、何と云ってもなってしまったことだから」
 こんなことを母君は云って居た。そばの女達は、「ほんとうにあさましいことになってしまいましてす、まるで私達の園の美くしい花が一夜の嵐にみんな散らされてしまったあとのような心地に――」若い女はかおを赤めながらこんなことを云って居た。
「どうにかしてなおせないかしら、まるで私の気が狂ってしまいそうだ。もうじき五月雨にもなるものを、マア、あのじめじめした雨の降る日に一日中一晩中、魔神の手なぐさみにされて居るように狂うあの人のことをきいたり見たりして居ることを思うと……」
 しずんだいんきな声でこ
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