けでも、ブルジョア国の工場学校とソヴェト同盟の工場学校との違いはどうでしょう! ソヴェト同盟では、本当に強い、社会主義の世の中を建設してゆく闘士をつくるための工場学校です。日本の工場学校と云えば体のいい徒弟養成所か、さもなければ製糸所の女工さんなどをプロレタリアの女として目ざまさない為に、いろんなブルジョアくさい女学校の型ばかりの真似をして、役にも立たない作文だの、活花だの、作法だので労働の中から自ずと湧く階級的な心持を胡魔化すのです。さもなければ、後藤静香の勤労学校のようにひどい山師の儲け仕事なのです。
 それから又、高岡只一はソヴェト同盟の裁判と監獄についても語りました。ソヴェトの裁判が公開であるということ、監獄が、後れた労働者をよい労働者に仕上げて出すためのところと考えられているということ、獄衣などないこと等、こまかく一つ一つ日本の有様とひき比べての演説は実に聞いていて飽きません。たとえば共産党の公判が、一応は公開だが、真実は暗黒裁判であると杉浦啓一も高岡只一も云いましたが、私にもそれはそうだと思われました。このようにためになり、あますところなくソヴェト同盟について、プロレタリア
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