願いは一つにまとめて
――平和のために、原子兵器の禁止を――
宮本百合子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)くち[#「くち」に傍点]を減らす
−−

 都会の主婦も農村の主婦も、同じ女性であることに何のちがいがありましょう。しかし、現実の生活の内容は非常にちがった点をもっています。工場に働く婦人たちと農業にしたがっている婦人たちとが、ともに働く婦人であることにちがいはありません。けれどもその労働の条件と経済事情と社会関係は互にひらきをもっています。だからわたくしたち女性といっても、都会に暮す婦人の気持と農村に生活する婦人の気持とはまるでちがったものだといってしまうことは、正しいでしょうか。わたくしたちは農村で働いている婦人なのだから、都会の婦人や工場働きの人とはちがうときめられるでしょうか。
 生活のしかたにはいろいろのちがいがあるけれども、わたくしたちには共通した人生の願いというものが、こんにちの生活から導きだされてつよく一貫して流れはじめていると思います。
 終戦の後しばらくは次のように考えていた年よりもなくは
次へ
全6ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング