願いのほかにありません。戦争で破壊された世の中を、ましなところに立て直すには平和しかないことは、誰にもわかってきていることです。
せっかく平和に戦後の生活を建設しようと努力している世界の人々を、強大な破壊力をもった新兵器をつくり出して、気にいらなければいつでもそれをぶっ放すぞという風におどかしている者があるとすれば、そのような狂気こそ世界の人類の理性の力で、とりしずめなければなりません。ソヴェト同盟とアメリカが世界平和のためにより近づいて協力しようとしているこんにち、国内でひそかに戦争を挑発しているものがあれば、それこそ平和の敵です。ストックホルムで開かれた世界平和擁護大会が、原子兵器禁止の決議を行い、ヒロシマとナガサキの恐ろしい経験をもっている日本の人民が、このアッピールの先頭にたつだろうと期待しているのは当然です。戦争は宿命ではありません。人間がおこすものです――しかも自分では決して死なない一握りの人たちが――。したがって、より多数の人間の努力で戦争はやめられます。原子兵器も人間がつくりました。それを使う使わないは世界の人類の判断と意志によります。
原子兵器は禁止され、原子兵
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