感情の動き
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九二七年四月〕
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喜び
人に使われずに、自由に勝手な自分の好きなことをしていられるのは、嬉しいことには違いない。
作家として、本当に自分自身の仕事が出来た時、心に感じたままを、一ばん心に訴えてくるものを、そっくりそのまま書けたら、それこそ最大の喜びであろう。
怒り
人間としてわたくしは、怒りもする、憤りもする。そしてその怒りや憤りの感じを、芸術の中に再現する。
作家としてよりも先ず人間としてわたくしは――そういえば、画家だって俳優だって、怒る時には怒り、憤る時には憤るであろう。
哀しみ
作家としての哀しみというと、それは第二義的のことに過ぎない。人間としての感情では――それは「怒り」の場合の言葉を繰返すに過ぎない。
楽しみ
わたくしはいつも生きることを先にして来た。わたくしにはいつもプロフェッションがあとからついて来た。
――気がついた時、わたく
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