髪の毛のこわい人は人間もこわいとある人が云って居る事である。
 けれども私はこの間、私の知って居る人でかみの毛はごくこわいが、気のやさしい涙もろい人を見つけた。その日から、そのことばがうそのように思われて来た。うそと知れて居てもきもちのいい事もあるし、たしかにほんとうの事でも不快な事もある……

 一寸した事にふれて起った気分をどうにもこうにもしようがなくってそのまんまだんだんうすれて行くのをまってるのは随分となさけないもののように思われる。

 田舎の女にはよく二つ名前の有る人がある。家の二人の女中とも、
 キク、とよんで居る女は一名キイ、
 セキ、とよぶのはマサと云う。
 雷神さんでどうとかこうとかしたんだそうだが何だか妙なもんだ。

 活字でおしたまま、線の思いがけなくまがって居るのや、
 字のあべこべにつまって居たりなんかするのは、気まぐれなほほ笑まれるような気になる事だ。

 雄鳥《にわトリ》の、雨が降ると今までピント中世紀の武士の頭かざりのような尾をダラリとたれてしまう。
 まるでおちぶれたおくげさんか、急に丸腰になった武士のような気がする。
 文章なんかをよくまね
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